ポンプのよくあるトラブル&効果的な対処法
1.空運転
インペラ部に流体が無い状態(呼び水が全く行われていない状態)で、この時はインペラには揚水時の推力が発生しないため、流量が出ません。耐蝕マグネットポンプでは、ケーシング内部が高温になり、インペラやケーシングの樹脂が溶解固着し、致命的なトラブルになります。また、軸受の潤滑を循環流体に依存している型式では、軸受部が完全なドライ状態となり、焼き付きに至る恐れがあります。
●空運転対応
起動時にエアー抜きプラグや弁を開放しエアーを抜きます。マグネットポンプでは空運転防止装置を設置することで、焼き付きを防止できます。モーター電流値を常時監視することで、キャビテーション運転、締切運転等の異常運転の発生をチェックし、ポンプを保護します。
2.キャビテーション運転
運転条件(入口圧力、流量など)や接続配管の形状によっては、流体に気泡が発生する場合(キャビテーション)があります。キャビテーションが発生すると、インペラやケーシングといったポンプ本体や配管を摩耗させることがあります。また、インペラに掛かる荷重が変化し、径方向や軸方向に過剰な力が掛かることで主軸やインペラが破損する場合もあります。
運転条件を見直したり、ポンプの吸込配管を太く短く設計しなおして、吸込み圧力を十分高めに確保するなどの方法があります。
3.空気混入運転
ポンプは混入する気体の量によって揚水状態から揚水不能状態に移行し、これにより、インペラが受ける負荷が変動します。軸受部には混入した気体の一部が侵入する半ドライ状態となります
配管の分岐部やバッファタンクなど、空気の侵入経路になりやすい箇所を調べます。空運転防止装置の設置や、電流値の監視により異常発生時にはポンプを停止させることができるよう備えます。
4.締切運転
ポンプ出口のバルブを全閉にした状態で運転することをいいます。締切運転を行うと、ポンプ内の液体が押し出されない為にインペラによって攪拌された液体の温度が上昇し、ポンプケーシングなどが破損し、液体が大気に放出して事故につながる恐れがあります。
ポンプ出口のバルブが開いていることを確認して運転する。安全弁や圧力計など、保護装置や監視装置を取り付ける。